Higmanの定理を示します。
定理1(Higman): 群$G$のSylow $p$-部分群を$P$とすると、$P$の焦点部分群$P^\ast$は$P\cap [G,G]$に等しい。
証明: $P^\ast\subset P\cap [G,G]$は定義から従うので、逆を示す。
$P$がSylow $p$-部分群なので$[G:P]$は$p$と互いに素、$P/P^\ast$は$p$-群なので、焦点部分群の諸性質 系3から、$P\cap \ker V=P^\ast$が成り立つ($V\colon G\to P/P^\ast$は移送)。
同じく焦点部分群の諸性質 系3から、$V$は全射なので、$G/\ker V\cong P/P^\ast$であり、特に$G/\ker V$は可換群になる(焦点部分群の諸性質 定理1)。
交換子群$[G,G]$の特徴づけとして「$G/H$が可換群であるような最小の正規部分群$H$」がある。このことから$[G,G]\subset \ker V$つまり$P\cap [G,G]\subset P\cap \ker V=P^\ast$が成り立つ。[定理1の証明終わり]
系2: $P/P^\ast$は$G/[G,G]$のSylow $p$-部分群と同型である。
証明: Higmanの定理と準同型定理から$P/P^\ast=P/(P\cap [G,G])\cong (P[G,G])/[G,G]$である。さらに、$G/[G,G]$の中の$(P[G,G])/[G,G]$の指数$|G:P[G,G]|$は$p$と互いに素なので、$(P[G,G])/[G,G]$は$G/[G,G]$のSylow $p$-部分群である。[系2の証明終わり]
系3: $G$の正規部分群$H$で、剰余群$G/H$が可換$p$-群になるような最小の部分群を$G'(p)$と書くと、$P/P^\ast\cong G/G'(p)$が成り立つ。
証明: $G/G'(p)$は$G/[G,G]$のSylow $p$-部分群と同型(詳細は略)なので、系2から主張が従う。[系3の証明終わり]